自分史紹介『イヴまで待って-肺癌告知を受けて』

自分史で日本を元気にと活動する河野初江がいろいろな自分史作品をご紹介します。
今回は、病気になったのを機に自分史作りをした方の作品紹介です。


生きて、自分史を書けることが最高の幸せ!
と教えてくれる

『イヴまで待って-肺癌告知を受けて』

『夕映えにシンフォニーを-肺癌闘病の日々の中で』

【データ】
著者 安田いづみ
出版 近代文藝社
サイズ 四六判 上製本

◆この2冊は、肺癌告知を受け、闘病むなしく56歳でこの世を去った著書の闘病記です。今日では癌は怖いものではなくなり、治るものという考え方が広がってきていますが、いづみさんの病いは、発見されたときにはすでに手術できないまでに広がっており、癌告知が余命宣告という厳しいものでした。

◆『イヴまで待って』は93年11月17日に始まり、『夕映えにシンフォニーを』は95年5月ホスピスにて、で終わります。誰よりも生きることを楽しんでいた彼女らしく、本書は闘病記とはいっても楽しかったこと、嬉しかったことにあふれています。

◆それだけに、『夕映えにシンフォニーを』のおわりに書かれている言葉、「治したい。治ってあの事も、この事もしたい。あの地へも行きたい。あの人にも会いたい。元気になっていつも心をわくわくさせ、目を輝かせて、何年も生きていたい」という痛切な叫びが胸を打ちます。

◆闘病中のいづみさんにとっては、こうして1年に1冊の記録を残すことが心の支えとなりました。だからでしょう。「4冊目、5冊目と重ねていくことが出来たら何と素晴らしいことだろう」とも書いています。家族はその後、多くの人に愛されたこの2冊の本をひとつにまとめ、『私らしく生きたい』(発行 銀河編集室 定価1800円)として再度出版しています。生きて、日々記録を残せることが「人生最高の幸せ」である!と私たちに教えてくれる作品です。